とらふぐの安全性

医薬品の安全

『水産用医薬品』~水産動物の病気の治療や予防に使用される医薬品

『水産用医薬品』は「薬事法」に基づいた厳格な承認制度で定められています私たち人間は病気にかかった時には薬を飲み、また予防のためにワクチンを注射していますが、水産動物も私たちと同じように病気にかかった際には薬による治療、若しくはその予防のためにワクチンを打つことが必要となります。このように水産動物の病気の治療や予防に使用される医薬品を総称として水産用医薬品と呼びます。

養殖に使われる水産用医薬品の種類と制限
水産用医薬品には、細菌感染症に効果のある細菌性物質(抗生物質等)、寄生虫感染症に効果のある駆虫剤、病気の予防に効果のあるワクチンなどがあります。これら水産用医薬品は私たち人間が使用している医薬品と同じように「薬事法」に基づいた厳格な承認制度により、その製造から使用方法(対象魚種や対象の病気、出荷前の使用禁止期間等)までがきちんと定められています。

水産用医薬品の承認制度

水産用医薬品は厳しい審査と手続きを通した医薬品です

水産用医薬品は「薬事法」に基づき、その使用方法が定められ、その使用方法を遵守した使用における安全性及び有効性が確保されたものだけが製造されています。

承認は、薬学、食品衛生学、獣医学、水産養殖の専門家を委員とする「薬事・食品衛生審議会」で審査することにより行われます。

ただし、人体にとって貴重な医薬品、毒性の強い医薬品、生ワクチンは、他の魚介類などや人間、自然環境への影境などから、水産動物に対して使用することは認められていません。

水産用医薬品の使用基準・使用規制

水産用医薬品が残留しているとらふぐは出荷されることはありません

水産用医薬品の使用講習会風景

「食品衛生法」では、魚介類には「抗菌性物質を含有してはならない」ことになっています。したがって、養殖魚に抗菌性物質を使用した場合、これらが魚体内に残留している間は食品として出荷できません。
特に、出荷する際においては魚体内に抗菌性物質が残留しないよう、水産用医薬品の使用に関しては「薬事法」に基づいた省令により、対象動物、用法・用量、休薬期間など使用者が遵守すべき基準が設定され、規制されています。

水産用医薬品の使用現状

生産者は丈夫なとらふぐを育てるために様々な要因に気を使っています

生産者は丈夫なとらふぐを育てるために様々な要因に気を使っています養殖業者が魚の泳ぎ方や餌の食べ方が通常と違う状態に気づいたり、死んだ魚を発見すると、その魚を水産試験場や魚病センターと言った魚病の専門家がいる機関へ持ち込み、魚病の診断や病原体の薬剤感受性検査を依頼します。
養殖している魚がかかりやすい病気として、ビブリオ病、類結節症、連鎖球菌症、イリドウイルス感染症などがあります。
これらの病原菌は、水温や塩分濃度、栄養分など自然環境条件によって増殖したり、死滅したりします。そして人間の風邪(カゼ)と同じように増殖する時期はある程度決まっていて、これらの病原菌が増殖する時期に魚の健康状態が悪い時期が一致してしまうと魚が病気にかかる確率が高くなってしまいます。特に幼魚期は病気に対する抵抗力が弱いため注意を要します。
このため生産者は病気にかかりにくい丈夫な魚を作るために、餌の吟味や栄養剤などを与えるなどに気を使っています。